液晶の構造と物性|分子間相互作用に注目して

分子の魅力を引き出すには|有機化学者が考える分子集団の物理

分子は一つだけでも機能を持ちます。例えば、色素分子は光を吸収するため、色が付きます。 一方、分子がたくさん集まると、例えば「水」が氷や水、水蒸気として、種々の場面で使われているように、 一分子では起こらないような様々な現象を利用した「分子材料」として利用することができるようになります。 我々は、分子が集団として機能を発揮する分子材料の設計、合成、機能について研究しています。

分子は原子が結合して生成し、分子材料は分子が互いに相互作用しながら集合することで生成します。 原子間の結合の生成や置換、開裂は化学が、分子材料の集合状態の性質は物理学が、それぞれ別々の分野として学術的な知見を積み上げてきました。 一方、最近では、分野横断的に分子材料をトータルにデザインしようと化学者と物理学者の共同研究が盛んに行われるようになってきました。 我々の特徴は、メンバーそれぞれが、化学もしくは物理学の研究をしつつ、密に連携を行うことを重視することにより、 分子材料を一つの研究室内でトータルにデザインしております。 具体的な研究対象としては、主に「液晶」を扱っています。

以下のリンクで液晶について簡単に解説しています。

液晶の特徴|分子がそれぞれの魅力を発揮できる理由

相互作用の重要性|分子の性質の総和以上の機能

研究紹介1|柔らかい材料を光と磁場で遠隔操作

磁場と光はどちらも接触することなくエネルギーを伝えることのできる刺激として、今後のIoTを活用した社会の中で、バッテリーを持たない超小型デバイスを駆動するために利用されると予想されます。また、液晶の自己組織化をうまく使えば、格段に省エネとなることが期待されます。そこで、液晶の柔軟性を活かした磁性材料・光学材料の開発を目指して、液晶に特有の磁気的性質と光学的性質についての基礎研究を行っています。以下のリンクでこの研究内容について簡単に解説しています。

研究1-1 液晶の磁気特性

研究1-2 液晶マイクロカプセル

分子の集団的知性を用いて液晶ディスプレイに似たデバイスで計算を行うAIや、光でつながるIoTデバイスとしてのマイクロロボットなど、様々な「ディスプレイの次の液晶デバイス」を目指して研究を進めています。

研究紹介2|柔らかい材料を鋳型にする材料の合成

分子の自己組織化では、こちらがエネルギーを加えなくても、勝手に分子が集合構造を作り出します。テンプレートを用いて望ましい形状の材料を作製することがよく行われていますが、自己組織化を利用すれば省エネで特別な装置を必要としません。西山研では分子のテンプレートを用いるソフトテンプレート法を開発してます。中でも、液晶やエマルションを用いたソフトテンプレート法はこれまでのものとは異なる特徴を持ちます。以下のリンクでこの研究内容について簡単に解説しています。

研究2-1 テンプレートとしての液晶

研究2-2 テンプレートとしてのエマルション

自己組織化を利用して、ウイルス等の高感度物質検出や、医療への応用など、様々な機能の実現を目指して研究を進めています。

業績等

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