相互作用の重要性|分子の性質の総和以上の機能

ある分子がどのような状態を示し、どのような性質を示すのかが分かれば、分子材料を自由にデザインできるようになります。全体の構造の強さを決めているのは、分子間力の強さであるため、原子性の固体と比べると非常に柔らかいことが特徴です。また、地球上の生命体は分子を基本の構成要素としており、分子材料は生体適合性が高いのも重要な特徴の一つです。さらに、希少金属を用いていないため、資源が豊富であることが挙げられます。分子材料の性質は分子構造に依存しており、分子構造を微調整することにより、望みの物性を得ることができます。

 しかし、大事なのは分子構造そのものだけではありません。分子が集合すると分子間に相互作用が発生します。この分子間相互作用が全体の物性に寄与するわけですが、特に重要なのは、相転移挙動です。どのような対称性を持つ相が出現するかによって、同じ構成分子だとしても全く物性が異なってしまいます。特に、液晶相は結晶相と液相の間の相であり、分子材料の特徴である流動性と異方性を併せ持っており、物性に大きく影響します。我々は、この「分子構造」と「相」の両方に注目して、新しい機能性材料の創出を目指しています。