In-situでの穏和なゲル形成を利用した抗がん剤送達によるガン治療に関する研究

 細胞や生体に対して穏和な機構でゲルを形成させることができる技術は、動物細胞をつかった再生医療だけでなく、さまざまな薬物を生体に送達するためにも有用です。
 一般に、溶液に溶解させた薬剤を生体に注入すると、拡散などにより迅速に生体に吸収されてしまします。このため、半減期の短い薬剤は短期間の間に注射を繰り返さなければならないなど、それによる患者の負担が大きいのが現実です。
 これに対して、ゲルの中に薬剤を包括し、さらにゲルと薬剤の間に弱い結合などがあると、そのゲルを生体にいれた場合には、ゲルから薬剤が徐放され、その効果が持続することが期待されます。 


抗がん剤担持ゲルの形成法模式図

現在、生体に対して穏和な反応を行う分子を触媒として腹腔内でゲルを形成させ、そこから抗がん剤を徐放させ、腹膜播種を治療するための方法の開発を行っています。(科学研究費補助金 若手研究B 2010-2011年度)