研究内容

(1)光触媒による選択的物質変換

 二酸化チタンなどの半導体表面に金属酸化物や金属ナノ粒子を担持した光触媒、あるいはゼオライトをはじめとする多孔質無機材料の細孔内に活性点を組み込んだ新規光触媒により、従来の触媒プロセスでは達成の困難な選択的物質変換を実現することを目的に研究を進めている。このような技術が開発できれば、光触媒の新たな用途への展開に繋がると期待され、以下のような研究を進めている。

光触媒と触媒反応を組み合わせるワンポット反応

 光励起により進行する光触媒反応と触媒反応を連続的に進行させることができれば、従来困難とされていた反応も効率よく進行させることができる可能性がある。このような概念にもとづくと、アルコールとアミンを原料とするイミン合成などが達成できることを明らかにしている。この反応では白金ナノ粒子を担持した二酸化チタン粒子を触媒として用いる。アルコールは光触媒反応により脱水素されアルデヒドを生成し、アルデヒドとアミンの縮合・脱水が触媒的に進行することにより対応するアミンが高収率で得られる。最近では、アルコールとアミンからの二級アミン合成などの反応も可能であることを見出している。

合金ナノ粒子による光触媒反応の高効率化

 金属ナノ粒子は合金化することにより様々な活性の変化を生み出すことはよく知られている。本課題では、半導体光触媒上への合金ナノ粒子の形成と、光触媒反応における合金ナノ粒子の挙動と新たな触媒特性の発現に着目した研究を進めている。例えば、白金およびパラジウムから形成された合金ナノ粒子を二酸化チタン上に担持すると、アルコールを水素源とする有害ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応が極めて効率よく進行することなどを明らかにしている。また、金-銀合金ナノ粒子光触媒による過酸化水素生成反応などの高難度反応にも取り組んでいる。

(2)発光・発色型分子センサー/デバイス

 水銀やカドミウムなどのカチオン、あるいはシアンをはじめとするアニオンなどに選択的に応答することにより発光、発色を示す分子センサーは、環境化学、生物化学などの分野で極めて重要である。本研究では、これらのイオン種を選択的に検出・定量するためのセンサー開発を進めている。これらの技術が可能になれば、ごく微量のイオン種を分析するための極めて重要なツールとなる。

フォトクロミック分子を基盤とするセンサー設計

 スピロピランなどの分子は光に応答することにより、自身の閉環、開環を制御できる分子であり、様々な分野で応用されているが、センサーとしての応用例はほとんどない。開環にともなう電子状態の変化を利用すると、シアンイオンに対して選択的に応答するセンサー分子として機能することなどをこれまで明らかにしてきている。最近では、スピロピラン誘導体が芳香族チオールに対して選択的に発色応答することなどを見出している。

新規リガンドを用いる新たなセンサー設計
 イオン種とリガンド部位の選択的な反応に基づき進行する新たな化学反応を利用することにより、特定のイオン種を選択的に検出するための新規リガンド部位を導入したセンサー分子の開発にも取り組んでいる。最近では、アミノメチル基と水酸基を含む簡単な構造のリガンド部位が選択的に銅(II)イオンと応答することにより脱水素反応を誘発することや、アミド-ジピコリルアミンからなるリガンドがコバルト(II)に対して選択的に8配位構造を形成することなどを見出し、新たなセンサー設計が可能であることを見出している。

(3)環境調和型触媒の開発

金田清臣特任教授の研究内容については、グリーンケミストリーラボラトリーホームページ http://www.cheng.es.osaka-u.ac.jp/kanedalabo/GSCLabo/index-j.htmlで紹介しています。