我々の研究グループでは マイクロエマルションを中心に溶液の微細構造について研究し、さらに粒子構造体の調製法を研究しています。
マイクロエマルションとは?
普通、水と油は別れてしまいます。 ではどうして、例えば牛乳の中には油分が含まれているのに、二相に別れていないのでしょう?? それは牛乳の中に、水と油を混ぜる働きをする物質が含まれているからです。 |
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このような働きをする物質を界面活性剤といい、一つの分子の中に親水基と疎水基の両方をもっています。 | ![]() |
界面活性剤は水と油の間に入り込んで、会合体を作ります。 普通油分は、界面活性剤に包まれるようにして、水中に分散しています。 これをエマルション(乳濁液)とよびます。多くのものは、牛乳のように 名前のとおり濁っています。 しかし、分散している滴が非常に小さい場合は透明になります。 このような液をマイクロエマルションとよびます。 |
W/Oマイクロエマルション?
近年、このマイクロエマルションの中でも特に、親水基を内側、疎水基を外側に球形を作る W/Oマイクロエマルションを用いてその分散した水相中で小さな粒子(1 mmの1000分の1のオーダー)を作る 研究がなされています。 | ![]() |
できる粒子は、マイクロエマルションの形を反映した球形であるのが一般的です。 ところが、マイクロエマルションの中で粒子を作ったのに、球形でない粒子ができることがあります。 この原因ははっきり分かっていません。 粒子の反応場である、マイクロエマルションの水相の形に原因があるのでしょうか? そこで我々は、プラズマレプリカ膜法とSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて、 この構造を研究しています。 |
![]() 球状のBaSO4粒子 |
今までの研究で、
AOTという界面活性剤を含むW/Oマイクロエマルション溶液が、ある条件では鎖状構造をとることが分かりました。 また、そのような系で合成した粒子の中には棒状やワイヤー状に伸びるものがあることが分かりました。
これらのことから、我々はこのような面白い形の粒子ができる理由として、 W/Oマイクロエマルション溶液の鎖状構造が鋳型となっている可能性もある、として 研究を進めています。
粒子構造体?
マイクロエマルションの内水相で微小な粒子をつくることができますが、粒子の材料をたくさん入れてしまったり、マイクロエマルションの構造が丈夫でない場合は、大きな粒子ができてしまいます。でも、密につまった大きな粒子ができるのではなく、大きな隙間をもった多孔質体が生成することが分かりました。多孔質体は、吸着剤(脱臭剤や乾燥剤がこれです)や、触媒の担体、分離材料(ろ紙のようにフィルタとして用います)などとして役立つものです。この方法で二酸化チタンなどの多孔質体を作ってきました。でも、界面活性剤が隙間に入り込んでいるので、これを取り除かないと役に立ちません。洗浄でその多くを除くことができますが、どうしても少し残ります。そこで、我々は現在、簡単に取り除くことができる、アルコールなどを水に混ぜておくことで多孔質体を作る研究を行っています。
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