高温・高圧相挙動

DAC(ダイアモンドアンビルセル)って何?

この研究グループでは、約7万気圧までの超高圧下における気体包接化合物などの物性について研究しています。高い圧力を発生させるには、その圧力に耐えられるだけの硬くて丈夫な装置が必要になります。そこで用いられているのがダイアモンドです。どんな風に用いているのかというと一対のダイアモンドを向かい合わせ、その間に微小な空間(おおまかに直径0.4 mm、厚さ0.3 mm)を作ります。図のように、その上下から強い圧力をかけると、ダイアモンドに挟まれた微小な空間に高い圧力を発生させることができるのです。この装置はDiamond Anvil Cell(DAC)と呼ばれ、超高圧の実験で広く用いられています。
ダイアモンドアンビルセル断面図

 

その小さい装置で、何ができるの?

先ほどの微小な空間内に、物質を密閉して圧力をかけて、超高圧下での現象を観察するのですが、これがなかなか面白いものなのです。確かに小さな空間に試料を入れるのはとても難しいですが、それを忘れてしまうくらい不思議な現象を観察することができるのです!例えば、水だけを入れてどんどん圧力をかけていくと、室温(約25℃)でも、1万気圧前後で氷に変化するのです。変化は一瞬にして起こります!その氷も始めはゴチャゴチャしたものですが、圧力や温度を微妙に変化させてゆっくりゆっくり熟成させると、とてもきれいな結晶にすることができます。25℃の氷や、水に沈む氷を日常生活の中で見ることができますか?!
アンビルセル写真

 

そんな小さな装置の中の物をどうやって観察するのですか?

当然肉眼で見ることはできません。CCDカメラとレンズを使って大きく拡大して見ています。右の写真のように気体包接化合物(gas hydrate)の結晶を作り、顕微Raman分光測定・顕微赤外分光測定などでgas hydrateが高圧下でどのように変化をするのかを観察しています。これからいろいろな物質を観察できる予定なので非常に楽しみに実験を進めています。


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