分子集合系計算科学セミナーを 3/21 に開催

第15回分子集合系計算科学セミナー
題目:ソフトマター周囲の水分子の回転ダイナミクス

講師:樋口祐次(九州大学 情報基盤研究開発センター)

日時:3月21日(木)17:30-18:30
場所:ハイブリッド開催 (大阪大学豊中キャンパス基礎工学研究棟講義室B201,Zoom)

要旨:
水分子の動態は、水中でのソフトマターの自己組織化や、生体材料の生体親和性に影響を与える。このため、ソフトマター構成分子周囲の水分子の動態を解明することは重要である。テラヘルツ分光による実験から、リン脂質分子やオスモライトと水分子の直接の相互作用だけでは水の回転拡散を説明できないことが示唆されている。そこで、分子シミュレーションを用いて水和状態と水の回転拡散に関して調べた。水分子間の水素結合数を周囲の水分子数で規格化した値を用いると、リン脂質分子やオスモライト周囲の水分子の回転緩和と正の相関が見られた。このことから、規格化された水素結合数は水分子の回転緩和を表す指標となる可能性を示唆した。規格化された水素結合数は、オスモライトやリン脂質分子と水が直接相互作用する第一水和圏ではなく、その周囲の第二水和圏に差が見られた。ソフトマター構成分子と水の直接の相互作用だけではなく、その周囲の水素結合ネットワークの状態も水の運動性に重要であることを明らかにした。
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世話人:笠原健人(大阪大),石井良樹(北里大),肥喜里志門(立命館大),吉田悠一郎(大阪大)
分子集合系計算科学セミナーHP: https://sites.google.com/view/bunsisyugo/