分子集合系計算科学セミナーを 6/12 に開催

題目:様々な氷の融液成長機構
望月建爾(浙江大学化学科)

日時:6月12日(月)16:00ー17:30
場所:ハイブリッド開催(大阪大学豊中キャンパス基礎工学研究棟講義室B303,Zoom)


要旨:氷の融液成長に関する我々の最近の研究を紹介します.融液成長機構の分子論的な理解は重要である.しかし,二つの高密度相に挟まれた固液界面での成長は観察が難しい.融液成長の速度は材料によって大きく異なり,温度が均一に制御されているとき,氷Ihの0.1 m/s程度から純金属の100 m/s以上まで変化する.融液成長機構を理解するために,我々は異分子間の比較ではなく,結晶多形による違いに注目した.これまで20種類の氷が実験で確認されており、計算ではさらに多くの氷が予測されている.これらの氷の多形には様々な水素結合ネットワークが存在し、成長速度や氷と水の界面には大きな違いがあることが示唆されている.実際,ゆっくり成長する氷Ihに比べ,氷VIIの成長が早いことが動的圧縮実験で実証されている。本研究では,分子動力学計算と教師なし機械学習を用いて固液共存状態中の局所構造を分類した.その結果,氷VIIの表面は一貫してプラスチック氷層(回転する氷)で覆われており,並進と回転の秩序化が分離して起こっていることを見つけた.また,純粋なプラスチック氷の超高速成長速度を明らかにし,結晶構造における配向性の乱れが,速い成長と関連している事を示した.さらに,相図上で液体水との相境界を持つ全ての氷多形(Ih, III, V, VI, VII, XVI)についても調査した.

世話人:笠原健人(大阪大),石井良樹(北里大),肥喜里志門(立命館大)
分子集合系計算科学セミナーHP: https://sites.google.com/view/bunsisyugo/