分子集合系計算科学セミナーを 1/16 に開催

題目:高分子材料における有機ナノイオニクスと電池材料への応用
講師:田中 学(東京都立大学 大学院都市環境科学研究科 環境応用化学域)

日時:1月16日(月)16:00ー17:00
場所:ハイブリッド開催(大阪大学豊中キャンパス基礎工学研究棟講義室B201,Zoom)

要旨:
イオニクスとはイオンの現象、特にイオンの動きを研究する学問分野である。電解質溶液のみならず、近年ではセラミクスやガラスなど無機固体内でのイオニクス研究も盛んである。一方、有機高分子においてもプロトンやリチウムイオンなどのイオン輸送能を示す材料は多く、固体高分子電解質として、水処理膜や燃料電池・二次電池などに応用されている。近年、我々はイオン伝導性を有する高分子を電界紡糸法(エレクトロスピニング法)によりナノファイバー化することで、得られたナノファイバーが同一の高分子からなる膜と比べ、飛躍的に高いイオン伝導度を示すことを明らかにしている。これは、ナノサイズの空間に閉じ込められた高分子鎖やイオン輸送挙動が、バルク材料とは異なる形態、性質を示すことに由来する。一方、イオン伝導性を持たないナノファイバーを高分子電解質と複合化することでも、ナノファイバー周辺のナノ空間に効率的なイオン伝導パスを形成することも見出している。本セミナーでは、まず高分子ナノ材料における特異なイオン輸送挙動(「有機ナノイオニクス」と命名)について説明し、それらを活用した燃料電池やリチウムイオン電池などへの応用について、各電池の背景や最近の研究動向も含め、報告する。また、計算科学研究との連携を進めているアニオン交換膜およびその水電解応用についてもあわせて紹介する。



世話人:笠原健人(大阪大),石井良樹(兵庫県立大)
分子集合系計算科学セミナーHP: https://sites.google.com/view/bunsisyugo/