研究の詳細 ~ミキシング~

化学工学が対象とするプロセスには流れ系プロセスが多く,その現象解明には流体力学的立場からの解析が必要です. 混合は反応・分離とともに化学プロセスの基本操作のひとつであるにも拘わらず,その理論的な研究は遅れています. 従来の完全混合流れ,プラグ流れのモデルだけでは機能性材料製造プロセスの制御・解析はできません. 新しい概念の導入とその具現化が必要とされています.
本研究室では,流れを制御しながら分子のオーダーまで精密に混合する技術を開発するために, 従来の混合モデルの一般化に加えて以下の研究を行っています.

1 「カオス理論」をはじめとする最新の「非線形ダイナミクス理論」の混合場への導入

本研究室では, 振動流れ系に着目し,カオス的混合の進行過程,非混合性島領域の出現条件とその解消法を調べ, その過程を混合パターンベクトルの「写像変換」や, 振動流れ系を周期的に観測した時にみられる「不安定多様体」 を用いることにより新しい視点から解明することを目指しています.

2 精密混合場創出のプロトタイプとして円板振動撹拌系の研究

円板振動撹拌系では, 通常の回転操作では達成できない高速混合が振動流れ系の流体の引き延ばし・折り畳み作用によって可能となることを実験的に見出しました. さらに,実際の撹拌混合操作の問題点を明らかにしその解決を図るために, ニュートン流体,非ニュートン流体の撹拌槽内3次元流れのレーザー計測と数値流体力学(CFD)のコンピュータ・コードを 用いた解析も行っています.
現在は, 不安定多様体の可視化実験にも取り組んでいます.