本事業の全体像

(1) 本事業の大学全体としての位置付け

 大阪大学は、社会の要請に応えるべく、先駆的研究・教育分野開拓のための組織再編を実行してきている(基礎工学研究科:理学・工学の融合、人間科学研究科:人文学・社会科学の融合、国際公共政策研究科:法学・経済学の融合、生命機能研究科:医学・理工学の融合、情報科学研究科:工学・基礎工学・理学研究科の生命・情報・数理分野の再編など)。特に、基礎工学研究科は、本学における理学と工学の要の部局として、生命機能研究科、情報科学研究科の創設に先導的役割を果たしてきた。このような流れの中で、学際的新領域を創成し、次世代研究開発を支える若手人材の育成を行うシステムとして、基礎工学研究科から提案された「学際新領域を先導する21世紀基礎工学教育」は、大阪大学の教育の3つの目標:「教養」、「デザイン力」、「国際性」、研究・教育を特徴づける2つのキーワード:「インタフェース」異分野融合による学問分野の生成、「ネットワーク」社会との連携、学内外との協奏、を目指す大学院教育イニシアティブとして、大阪大学の施策に合致するものと位置付けられる。基礎工学研究科の教育研究環境の整備・充実を図るため、平成12年度から当研究科建物の改修工事を実施しているが、全学的にも最も高い進捗度であり、今後も継続して完成に向けて支援する。さらに、本申請計画の実行に際して、財政、行政、教育、研究推進面から支援する。

(2) これまでの教育研究活動の状況

 基礎工学研究科は、「科学と技術の融合による科学技術の根本的開発、それにより人類の真の文化を創造する」ことを理念として、昭和39年に創設された。以来、この基本理念を常に共有し、社会の要請に応える新しい学問領域を開拓するとともに、理学と工学のバランスのとれた教育を実践し、高い専門性と広い知識を基礎として先端的な研究開発を行うことのできる多くの人材を輩出してきた。大学院の修了者総数は、前期課程7,792名、後期課程1,208名(平成17年3月現在)にのぼり、学界・産業界で広く活躍している。平成15年4月には、基礎工学研究科の改組を行い、学際領域研究に適した分野を融合することにより、物質創成専攻、機能創成専攻、システム創成専攻に再編するともに、領域横断組織である未来研究ラボシステムを併設し、21世紀の発展に資する研究教育の枠組みを構築した。

(3) 魅力ある大学院教育への取組・計画

 平成15年度の改組における基本コンセプトは、「物理と化学の融合」(物質創成専攻)、「バイオエンジニアリングとメカニクスの融合」(機能創成専攻)、「文理融合」(システム創成専攻)である。本申請における取組みは、この改組のコンセプトを具現化した各専攻・領域カリキュラムの強化・充実と、専攻横断型の新時代教育プログラムの配置・拡充を図って、高い専門性と広い視野のもとに、創造力豊かな上に自立性・国際性を身につけた研究者・技術者を育成することを目指すものである。多様な大学院入試制度(一般入試での他専攻・他領域専門科目の選択による異領域受験制度、英語コース入試、推薦入試、社会人入試など)による有能で多彩なバックグラウンドをもった人材の確保を図りつつ,上記3専攻の一致協力の下、未来研究ラボシステムも活用して以下のような計画を基礎工学研究科として組織的に展開する。

(1)現行教育カリキュラムの強化・充実:基盤専門科目(領域内提供科目)、境界専門科目(履修を推奨する専攻内提供科目)、学際選択科目(履修を推奨する研究科内提供科目)の3つに分類された科目群の改善を図り、学生の基礎専門知識の確立と先端応用学際分野のバランスの取れた系統的学習を促進する。さらに、全学的な取組みである分野横断型学際教育プログラムの積極的な履修を促進する。

(2)21世紀型基礎工学教育プログラムの推進:学生の創造性と国際性を涵養するとともに、実務英語、技術者倫理などの実務能力や課題探究、研究開発などの問題解決能力を付与し、これらを通じて人類の持続的社会構築のための高度大学院教育研究活動を展開する。具体的には、学生主体の異分野融合コロキウム・セミナーの英語による実施、著名外部研究者・産業界技術者による講義(科学技術論など)、企業への長期研究インターンシップの促進とカリキュラム化、部局独自で実施している英語コース科目の拡充による留学生枠拡大と外国人講師の招聘、部局独自の未来研究ラボシステムを活用した海外インターンシップ・研修、などを計画する。

 本プログラムを通じて、①高い専門性と学際融合的知識をもって新領域開拓を先導する研究者、②自立した研究開発能力を有し、国際的リーダーとなる研究者、③大学・研究機関の他、企業における研究開発を推進できる研究者、を育成する大学院教育拠点の形成を図る。

履修プロセスの概念図

問い合わせ先:KISOKOU-D@star.jim.osaka-u.ac.jp 作成:2005年4月21日
Copyright @ 2006 Graduate School of Engineering Science, Osaka University