【プレスリリース】新たな固体触媒を開発!温和な条件でエステルからエーテルへ

当研究室の成果が「JACS Au」誌に掲載され、その成果のプレスリリースを行いました。

論文タイトル:“Selective Hydrodeoxygenation of Esters to Unsymmetrical Ethers over a Zirconium Oxide-Supported Pt–Mo Catalyst”

著者名:K. Sakoda, S. Yamaguchi, T. Mitsudome, T. Mizugaki

論文誌 JACS Au, 2022, 2, 665-672.

URL先 https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacsau.1c00535

成果の概要 https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2022/20220224

概略

入手容易なエステルを原料として、香料や潤滑剤、界面活性剤および化粧品などの様々な高機能化学品として有用な、対称・非対称エーテルへの水素化脱酸素反応に極めて高い活性を示す担持金属ナノ粒子触媒の開発に成功しました。

約2.4ナノメートルの白金ナノ粒子とモリブデン酸化物を酸化ジルコニウム上に担持した触媒(Pt-Mo/ZrO2)が、常圧(1気圧)~5気圧程度の水素圧下という極めて温和な条件で、エステルから高効率でエーテルを生成することを見出しました。開発した触媒は固体触媒であるため、生成物と触媒は容易に分離ができ、回収した触媒の再使用もできます。

これらの成果から、安全かつ省エネルギーでほしいものだけをつくり出す、環境に優しい触媒プロセスの開発が期待されます。本研究成果は、米国化学会誌「JACS Au」(オンライン)に、2月24日(木)15時(日本時間)に公開されました。

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

今回開発した触媒は、クリーンな還元剤である水素を用いて入手容易な様々なエステルをエーテルへ変換する世界で初めての固体触媒です。選択的な水素化脱酸素反応は、化石資源を原料とする現在の化学プロセスをバイオマス由来の再生可能資源に転換するために欠かすことのできない技術です。本研究成果により、有害な試薬や廃棄物を伴わず、温和な条件下で有用な対称・非対称エーテル類の合成が可能になったことから、省エネルギーかつ安全な環境調和型化学プロセスの構築、さらに低炭素社会の実現につながると大いに期待されます。