満留准教授、第17回グリーンサステイナブルケミストリ―奨励賞受賞

満留先生が、第17回グリーンサスティナブルケミストリ―(GSC)奨励賞を受賞しました。

グリーンサスティナブルケミストリ―(GSC)とは、「人と環境にやさしく、持続可能な社会の発展を支える化学 」のことです。

新化学技術推進協会(JACI)がグリーンサスティナブルケミストリ―の推進に貢献する優れた業績をGSC賞として表彰しています。

受賞タイトル

「環境調和型分子変換を可能にする複合金属ナノ粒子触媒の開発」

受賞理由

第 17 回 GSC 賞 奨励賞 「環境調和型分子変換を可能にする複合金属ナノ粒子触媒の開発」 大阪大学 満留 敬人 氏

環境汚染や資源の枯渇など環境・エネルギー問題が深刻化する今、化学産業 では環境に負荷をかけず望みのものを生み出す「高性能触媒」の開発が強く求められている。満留氏は、金属ナノ粒子と無機酸化物を複合化すると、その界面で 新規な触媒機能が発現することに着目し、独自の手法で開発した複合ナノ粒子触媒が、有害物質を排出せずに省エネかつ安全に様々な物質を目標物質へと選択的に変換できることを見出した。 満留氏は、白金ナノ粒子とバナジウム酸化物を複合化した粒子径 2 ナノメート ル(ナノは 10 億分の 1)の超微粒子触媒を開発し、常圧水素下または室温下の温 和な条件で難還元性の化合物「アミド」の還元に世界で初めて成功した。さらに、反応後の触媒は反応液からろ過により容易に回収でき、繰り返し使用できる。本反応では無害な水のみが副生し、アミドを還元して得られるアミンは汎用性が高く、医薬品・農薬・染料・ポリマー等様々な用途に使われる。従来、アミドの還 元反応には爆発性のある還元剤を用い、反応後に金属廃棄物が大量に排出する問 題があった。また、水素による還元反応では、高温・高圧が必要であり、理想とされる温和な条件 (水素圧:30 気圧以下、反応温度:70 度以下) でアミドを還元する触媒はこれまで開発されていなかった。 また、満留氏は「金属ナノ粒子を無機酸化物で内包し、触媒機能が発現するナ ノ粒子と酸化物との界面サイトを最大化する」という着想から、金ナノ粒子や銀ナノ粒子(コア)を酸化セリウム(シェル)で内包したコア−シェル型超微粒子 触媒を開発した。これらの触媒は非常に還元されやすい炭素-炭素二重結合部位 を保持しつつニトロ基やアルデヒド基を還元する、染料・香料合成に重要な高難 度反応を選択的に促進させる。これらの成果は、“環境に優しいものづくり”における複合ナノ粒子触媒の有 効性を顕著に示しており、満留氏の業績は、GSCの理念に沿った省資源・省エネ ルギーの高効率な物質変換技術として、複合ナノ粒子触媒の可能性を示したものであり、GSC奨励賞に相応しいと評価できる。

URL先 http://www.jaci.or.jp/gscn/page_03.html

受賞式は6/14に行われます。