【産経新聞に掲載】 水素を廃棄物から生成する触媒技術

工業廃棄物であるヒドロシラン類と水から次世代エネルギーである水素を効率的に発生させる触媒に関する研究成果が、 産経新聞ネット版12月3日付【坂口至徳の科学の現場を歩く】に掲載されました。

産経新聞ネット版12月3日付【坂口至徳の科学の現場を歩く】

記事タイトル「画期的モバイル電源に…水素を廃棄物から生成する触媒技術、阪大が世界初提案」

URL http://www.sankei.com/west/news/161203/wst1612030007-n1.html


本研究成果は、2016年11月24日19時(日本時間)に英科学誌Natureの姉妹誌「Scientific Reports」(オンライン)に掲載されました。

タイトル:“On-demand Hydrogen Production from Organosilanes at Ambient Temperature Using Heterogeneous Gold Catalysts”
著者名:Takato Mitsudome, Teppei Urayama, Taizo Kiyohiro, Zen Maeno, Tomoo Mizugaki, Koichiro Jitsukawa and Kiyotomi Kaneda

論文は無料で閲覧可能です↓

http://www.nature.com/articles/srep37682

内容 本研究では、1.9nmの非常に小さな金ナノ粒子を作ることに成功し、その金ナノ粒子がシリコーン工業の廃棄物と水という安価な材料から効率的に次世代エネルギーである水素を作り出す触媒になることを発見しました。

動画にあるように工業廃棄物であるヒドロシラン類を含む水に開発した触媒を加えると、外部エネルギーを一切必要とせず、室温・大気中で簡便に多量の水素を生成できます。さらに、開発した触媒が固体である利点を生かし、触媒を反応液に出し入れすることで水素発生のオン・オフ制御が可能となる水素生成系を世界で初めて提案しました。

本研究成果により、必要な場所で、必要なときに、必要な分だけ水素を取り出すことができる小型・軽量の次世代型水素キャリアシステム(ポータブル水素発生装置)への応用・実用化が期待されます。例えば、非常に小型かつ軽量という利点を生かし、スマートフォンの充電等の用途に使用されるポケットサイズ燃料電池の水素生成部に組み込むことができます。また、安定な化合物で構成されているため、これまでの電池やバッテリーと比べて経年劣化の心配がなく、災害時などの非常用電源として避難所などに常備・長期保管しておくこともできると思われます。