生物反応工学グループ 研究概要

  • 田谷研トップページへ
  • 動物細胞マイクロカプセルに関する研究

    動物細胞(直径20〜40マイクロメートル程度)は、周囲の流体の流動により生じる剪断力(せんだんりょく)などに対してとても弱く、簡単に死んでしまい ます。動物細胞包括マイクロカプセルは、酸素やグルコースなどの栄養分を良好に透過するヒドロゲルの半透膜からなるカプセルの中に動物細胞を包括したもの で、カプセルに包括することにより動物細胞は剪断力から保護されるようになります。

    カプセル概要

    当研究室では細管内での流動減少を上手く利用する独自の方法によって直径が100〜200マイクロメートル程度の 中空空間を有する細胞包括カプセルを作製しています。
    このマイクロカプセル内では細胞が自由に増殖し、中空空間と同じサイズの球状細胞塊を形成します(下図)。

    カプセル2
    マイクロカプセル内での細胞の増殖推移(Hollow core: 中空カプセル, Solid core:非中空カプセル)

    さらにこのカプセルからは細胞の生存に影響をほとんど与えることなく細胞のみを容易に回収することも可能です。

    分解後
    カプセルの分解により回収される球状細胞塊と24時間後に再度培養面に接着した細胞塊

    この細胞包括マイクロカプセルは、作製後に液体窒素中に凍結保存することも可能で、通常の10%FBS添加培地に10%DMSOを添加しただけの凍結保存液を用いた2ヶ月間の液体窒素中での保存後も約90%の生存率を達成しています(緩速凍結法:プログラムフリ-ザを使用せず)。
    このような技術を用いてガンの治療やES細胞、iPS細胞を使用する再生医療に利用するための研究を進めています。