細胞包括カプセルの作製の検討では、当初アルギン酸ナトリウム水溶液を高分子水溶液のモデル材料として利用して
いたのですが、その際に、油の代わりに塩化カルシウム水溶液を流したらどうなるだろう?と考え、外筒から塩化カルシウム水溶液を流してみたところ、さまざ
まな径のアルギン酸ゲルファイバーを簡単に作れることを見つけました。
さらにこのファイバーをコラーゲンゲル内に埋め込んだ後に、アルギン酸リアーゼを用いて動物細胞に穏和な酵素反応でこのファイバーを分解することで管腔
構造を形成できるのではと考え、検討を行ったところ良好に管腔構造を形成できました。
さらに、血管内皮細胞を包括するゲルファイバー表面に平滑筋細胞を培養した後に、同様の操作を行うと、生体の血
管に類似した血管内皮-平滑筋細胞の二層構造からなる血管様組織を作製することにも成功しました。
現在、この用途をさまざまな疾患評価モデルに拡張すべく、大阪大学基礎工学研究科未来ラボより助成を受けて基礎
工学研究科内で共同研究を行っています(代表 木原先生 in 細胞システム工学研究室)。