教授 實川 浩一郎 Dr. Koichiro JITSUKAWA
研究分野
「ものづくり」は化学および化学工学の基本であり、地球環境に対して優しい、すなわちエネルギーを浪費せず、廃棄物を排出せず、資源をリサイクルする、反応を開発するためには、新しいコンセプトにしたがった触媒の開発が求められている。触媒は固体・錯体・生体に大別できるが、それぞれに特徴と歴史的経緯があり、20世紀の間は互いに独立に発展してきた。21世紀の環境調和型反応を実現するためにはこれらの特徴を融合した新規触媒が必要であり、表面の分子レベルでの精密設計をキーワードにしたインテリジェント固体触媒の開発に取り組んでいる。
担当授業科目: 有機化学A・B(学部)、触媒設計論(大学院)
主な著書・論文
著書:「生物無機化学」(分担執筆)三共出版
論文:
1] Montmorillonite-Entrapped Sub-Nanoordered Pd Clusters as
a Heterogeneous Catalyst for Allylic Substitution Reactions; T. Mitsudome, K. Nose, K. Mori, T. Mizugaki,
K. Ebitani, K. Jitsukawa, K. Kaneda; Angew. Chem, Int. Ed. 2007, 46, 3288.
2] Highly Efficient C-C Bond-Forming Reactions in Aqueous Media
Catalyzed by Monomeric Vanadate Species in an Apatite Framework; T. Hara, S. Kanai,
K. Mori, T. Mizugaki, K. Ebitani, K. Jitsukawa, K. Kaneda; J. Org.
Chem. 2006, 71, 7455.
3] Preparation of
a Hydroperoxo Zinc(II) Intermediate; A. Wada, S. Yamaguchi, K. Jitsukawa, H.
Masuda; Angew. Chem. Int. Ed. 2005,
44, 5698.
4] Preparation, Structure Characterization, and Oxidation Activity of Ruthenium Complexes with Tripodal Ligands Bearing Non-covalent Interaction Sites; K. Jitsukawa, Y. Oka, S. Yamaguchi, H. Masuda; Inorg. Chem. 2004, 43, 8119.
趣味・特技など: 陶芸鑑賞・歴史をひもとくこと
部屋番号: C-429
電話番号: 06−6850−6261(FAX兼用)
E-mail: jitkk @ cheng.es.osaka-u.ac.jp
メッセージ
「?」と「!」の関係はビクトル・ユゴーだけではない。ソクラテスの時代から、「なぜ?」と「そうか!」と問答を繰り返すことによって、科学と技術が発展してきた。「知れば知るほど分からないことが増えていく」のは科学において一つの真理であり、より「知ろう」とする未知への探求(フロンティアスピリット)が新しい学問を生みだし、また科学技術発展のドライビングフォースとなっている。そこで、すべての思想の根源は哲学であり、また学問は知識の断片ではなく集成であることに気づいてほしい。現代の我々はソフト面でもハード面でも先人の学問の恩恵を受けている。では我々が21世紀およびそれ以後の世界に役立つ、新しい学問を創造するためには何が必要か? その答えを大学・大学院での学生生活で見いだしてほしい。