研究概要 |
環境光工学グループ(平井研究室) |
太陽エネルギー・光エネルギーの有効利用による持続可能な社会の実現を目指して、下記のような研究を展開しています。
界面活性剤の自己集合により形成されるナノメータースケールの会合コロイド(逆ミセル)を微小反応場とするナノ超微粒子の調製と、調製したナノ粒子のプロセシング・材料化技術に関する研究を進めています。ナノメータースケールまで微細化された半導体粒子は、量子サイズ効果が発現し、バルク半導体では見られない新たな電子的・光学的特性を示します。これらのナノ粒子を利用して調製したナノ粒子−ポリマー、ナノ粒子−シリカなどの複合機能材料が水の光分解による水素エネルギーの製造のための光触媒や蛍光体として優れた機能を発現することを見いだしており、さらに新規なプロセシング技術の開発と機能材料の創製を目指しています。
外水相・液膜相・ミクロンスケールの内水相から形成されるW/O/W型エマルションを反応場とし、ナノ〜サブミクロンサイズの微粒子材料の調製を行っています。反応物質の輸送・供給過程を制御することにより、微粒子の粒径や形態・結晶構造などを精密に制御することができます。各種の金属酸化物材料の前駆体として有用な金属しゅう酸塩や炭酸塩微粒子の調製をはじめ、希土類酸化物などの新規な光機能性微粒子および薄膜材料の開発に取り組んでいます。
3.有機・無機高分子光触媒による高選択的有機合成の実現
ゼオライトをはじめとする多孔質無機高分子のナノ細孔を光触媒反応場として利用することにより、熱触媒や従来の非孔質光触媒では実現の困難な高選択的有機合成反応を実現することを目的としています。最近では、ゼオライトの一部のSi原子をTi原子で置換したチタノシリケートを光触媒として用いることにより、水中の有害な有機塩素化合物から無害かつ工業的に有用なフェノール類をダイレクトに合成できることや、オレフィン類を選択的にエポキシ化できることを見出しています。また、新規な多孔体光触媒や光触媒機能を付与した新たな有機高分子(デンドリマー型)光触媒の合成にも取り組んでいます。
4.外部環境を認識する発光型分子デバイスの開発
外部環境を認識することにより、発光挙動の変化により応答する発光型分子デバイスの開発を目的としています。最近では、環状ポリアミンや鎖状ポリアミンにアントラセンを結合させた分子を新規に開発し、これらが溶液のpHや含まれる金属イオン種を高度に認識する機能を持つことを見いだしています。pHやイオンだけでなく、様々な分子に対して選択的に応答する高感度の発光型分子デバイスの開発に取り組んでいます。